牛は飼えるか。

ムツゴロウさん, 国づくり, 生きもの

目からウロコの牛の世界

いつもお世話になっております。

牛乳はもちろんのこと、ヨーグルト、バター、チーズ、牛肉・・・
1日1回くらいはどこかで牛のお世話になっているヒトが多いはず。

諸説あるものの、
牛は犬、羊、ヤギに次いで早くから家畜化された動物です。
紀元前8千年頃には既に家畜化された痕跡があるとか。
人類と約1万年のお付き合いということになります。
有名なラスコーの壁画にも牛の祖先であるオーロックスの姿が描かれています。

「動物たちとの共生を学ぶ場所」を作るにあたり、
これまでは犬、猫、馬について掘り下げてきましたが、
牛も是非仲間に加えたい動物の一つです。

以前の記事で、カウボーイになるって話が出ましたからね!

舌の表面はザラザラしていて猫の舌のよう。舐められると痛いくらい。

ムツさんも、牛を飼うメリットについて過去に書かれていました。

長年の付き合いである牛。
牧場や動物園で見かけても、
「あぁ、牛か」
あまりにも身近すぎてスルーされがち。

今回、私の強引なお誘いに乗ってくださった友人も、
「牛を見に行く、牛の話を聞きに行く」
と言っても、いまいちピンと来ていなかった様子。
なんせ知り合いの酪農家さんのところまで
「車で片道4時間、日帰り弾丸ツアーで行こう!」
というんですから。

意外と知らない牛のこと

いざ、
「牛を飼ってみよう!いや、そもそも飼えるのか?」
となると、情報化社会と言われる現代においても、
どこにも「牛の買い方」「牛の飼い方」は見当たらない。

「馬のしつけ方」の時と同じ現象ですね!

お話を伺ってみると、初めて聞く話ばかり!

・牛乳は1頭から1日リットル絞れるの?
・子牛は何で育てるの?
・体重何キロ?
・なつくの?
・1頭いくら?

全然牛のことを知らなかったー!!!

今回快く取材に応じてくださったNさん、本当にありがとうございました!

牛はどこから?

今回、本州のとある酪農家さん(Nさん)のところに
お話を伺いに行ったのですが、
(先日私が北海道に行っていたことを知っていて)

Nさん「牛のことを知りたいなら北海道で聞けばよかったじゃん」

私「いや、でも、もし牛を買おうとするなら北海道だと遠いし
地続きの方がコスト抑えられそうでしょ」

すると、Nさんから衝撃の一言

「残念でした😜うちにいる牛たちはほとんど北海道産です」

えぇぇぇーそうなのー!

しょっぱなから出鼻を挫かれました。

全国酪農業協同組合連合会(全酪連)
全国農業協同組合連合会(全農)が北海道まで行って
買い付けてくれるのだそうです。

お腹に子がいる状態で100万円弱!
ホルスタインよりジャージー牛の方が小ぶりで
乳量は少ないものの脂肪分は高め。
(個人で飼うならそっちの方が良いかも?)

ちなみにホルスタインは600kg〜800kgらしい・・・デカっ!

でっかいのに可愛い☺

 

素人のイメージ

一頭の乳牛(♀)

ホルスタインには一般的な白黒の他にレッド&ホワイトもいるんだって!ボーダーコリーみたいですね!
ボーダーコリーのレッド&ホワイトカラー

その雌牛に雄牛を交配させて、子供を産ませます。
子供を産ませないと乳は出ませんからね。(その程度の知識はあります)

生まれた子牛が
雌だったら、万歳!後継だ!
雄だったらよそに売られて食肉用にされる。
そんなイメージ。

・・・違います。

システム化された経済動物

交配と技術

人工授精が主流のようです。
冷凍精子で専門の獣医さんが受精させたり、
受精卵を付けたりすることもあるそうです。

ホルスタインに
別種の精子を付ければF1(雑種第一代)
和牛などの受精卵を付ければ代理母
という形ですね。

冷凍精子は1本数千円〜らしい。
犬や馬の『交配料』として考えれば激安。

最近はフリーズドライの精子も出ているようです!

「天才の精子を冷凍保存しておくんだ!」
なんていうのはSFの世界かと思っていましたが、
牛の世界ではもう既に常識だったんですね・・・

オス、メス産み分けできる精子もあるそうです。
衝撃の事実。

肉牛としてはオスの方が大きくなるので値段が高くなる一方、
肉質が重要な松坂牛はメスしかいません。(知らなかった・・・)

ここまで研究が進んでいるのも経済動物ならではですよね。
そしてその技術があっても馬や犬、ヒトには使われないのは
経済的、道徳的問題を多く含むからであることは疑いようがありません。

ちなみに直腸に手を入れて検査をすることで
受胎したかどうかはわずか40日で判別できるそうです。

いや、知らなかったことが多い。深い。深すぎる。

牛乳ができるまで

哺乳類が子を産んですぐの乳には免疫抗体が入っています。
いわゆる「初乳」というものです。これは常識。
最初の1週間は子牛がこれを飲みます。

その後、乳は検査に出されます。
問題なければ牛乳を取り始め、子牛は粉ミルクに切り替え。
次の妊娠&出産準備まで約8ヶ月間乳が取れるそうです。
牛の妊娠期間は約10ヶ月

問題というのは、抗生物質が検出されるか否か。
出産前2ヶ月になると搾乳はお休みし、
その間乳房炎を起こさないように抗生物質を投与します。
それが残ってしまっていると出荷できないので
検査を行います。

そうでなくても、通常3ヶ月に1回は乳の検査をします。

個体差もありますが、平均すると1頭が1年で
6,000キロから8,000キロの牛乳を出してくれるんだそうです。
(ホルスタインの場合)
妊娠・出産期間など乳が絞れない時期も考慮すると

1日20〜30リットルくらいの牛乳が取れる計算になります。
ありがとう!牛さん!

すごく乳出しの良いウシはなんと年間2万キロリットルという子もいるそう!
『スーパーカウ』というそうです!

スーパーカブみたいじゃないか

 

その後の牛乳の行方

検査のために個体別でタンクに入れられていた牛乳も、
最終的には全部一緒に混ぜられて巨大なタンクに集められます。

万が一、検査に漏れて抗生物質が検出されると、
混ぜられて集められた何トンという大量の牛乳は
全部廃棄されてしまうことになります・・・😱😱😱
もったいなさ過ぎ!そして莫大な損失に。
(保険もあるそうです)

美味しい牛乳を出す牛の乳も、そうでない牛の乳も、
(混ぜてしまうので)卸価格はほぼ一緒だそうです。
美味しい牛乳を出す牛ばかり優遇されてたら可哀想だなーと
思っていたのでちょっとホッとしました。

地方に点在する小さな乳業メーカーでは
少数の契約農家から得た牛乳だけで作っていたりするので
「この子たちが出してくれた牛乳」を飲むこともできるのだそうです。

消費者としては、できれば、そういう方が嬉しいですよね!

では、そもそも、美味しい牛乳とは?

衝撃の事実!美味しい牛乳とは

牛乳を普段から飲んで舌が肥えているであろう
酪農家の(奥様方の)間で、
脂肪分など成分の違う牛乳を並べて
どれが美味しい牛乳なのか?を飲み比べ、審議してみたそうです。

そこで「これが美味しい牛乳だ!」と選ばれたのは

 

・・・・ドラムロール

 

 

みんなバラバラ!

 

 

衝撃の新事実。。。わかったのは以下のこと。

・何が美味しい牛乳かは個人の好みによる

・乳脂肪分が高いからといって
 みんなが美味しいと感じるわけではない

・でも、それぞれみんな味は違う

いやはや、本当に知らないことばかりでした。
次回も牛の話が続きます!

 

ムツゴロウさん, 国づくり, 生きもの

Posted by kyotako

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