犬猫のウィルス、病気

2020年2月29日犬猫, 生きもの

知らないは怖い

猫のコロナウィルス

コロナウィルスといえば、ネコのコロナウィルス、
FIPを真っ先に思い浮かべますが、これはまだ、
治療法もなく予防法もなく、なすすべもありません。

以前、FIPの記事を書いてました。再掲します。
恐ろしい猫の病気

今回の新型コロナウィルスの治療薬・予防薬として
レムデシビル（GS-441524のプロドラッグ）が挙げられていますが
これは偽物の遺伝子を入れていくもので、
FIP治療にもつながると言われています。
早く治療薬を作って欲しい。

タイプは違いますが、今回のウィルス騒動をみると
ペット業界のパルボウィルス騒動を思い出しました。

知らない＝怖い

なんですよね。
そして怪しげな対策や意味のない差別などが
次々と登場します。

正しい知識を持って、冷静に対処していかないと
意味のないことを一生懸命やってしまったり、
間違った方向に行ってしまいます。

今の日本を見てるとまさにショップ内で起こっていた
ことと似ているなーと思って書いています。

また、さらに昔を振り返ると、
ムツゴロウ動物王国が北海道から東京に移転してくる際、
北海道のエキノコックスを東京に持ってくるな！
みたいな運動があったりしました。

北海道に長いこと動物王国がありましたが
過去に一度たりともエキノコックスを
発症したことがないし、説明会を
繰り返し繰り返しやらされていました。

東京ムツゴロウ動物王国
オープンまでに駆虫・検査・検疫攻めで
てんやわんやだった最中に
個人で犬を飼っている人は、
普通に北海道から東京に引っ越してきましたー
ってなんもせずに来ていましたからね。

なんなんだよ！と思いました。

そう考えると国民性とかそういうのって
昔から変わらないんだなーと思ってしまいます。

犬のパルボウィルス

エンベロープを持つor持たない

パルボウィルスは新型コロナウィルスと違って
エンベロープ（殻）を持たないウィルス。
エンベロープ（殻）を持つタイプ＝コロナウィルスの方が
強い印象を受けますけど、実際は逆。

アルコールはコロナウィルスのエンベロープを破壊し、
殺せますが、殻を持たないパルボウィルスに
アルコールはほぼ無効で
塩素系消毒でないと効果が期待できない。

呼吸器系と消化器系

コロナウィルスは肺炎になったり呼吸器系ですけど
パルボウィルスは人でいうとノロウィスルのような消化器系で
下痢や嘔吐がひどくなります。

感染ルート

パルボウィルスは「接触感染」です。
排便や粘液、嘔吐物などにウィルスが含まれていて
本当に小学生のウェーイ！ばいきーん！触ったー！
ってレベルのものです。

ケージやタオルなどを一生懸命洗ったり消毒したり
していましたけれど、最も感染を広げていたのは
食器とトイレの共有、そして犬猫を扱うヒト
が原因だったんですね。

今のコロナウィルス騒動でもそうですけど、
やっぱり隔離が基本になってくるんでしょうね。

でも以前動物王国にいた時は子犬たちも自由だったけど
感染症ってなかったんだよなー

父母犬のワクチン接種と屋外（太陽光・紫外線）が
ポイントなのかな？と個人的には思っています。

ワクチンと検査

パルボウィルスの検査には
共立製薬のチェックマンCPV
を使います。疑いのある個体の便をとって
チェックにかけると15分後に陽性（ウィルスを持ってる）なら線がでます。
線がでなければ陰性という形になります。

今のコロナウィルスがどういう検査なのかは不明ですが、
このCPVでの陰性・陽性もあくまで指標で、
陰性であっても絶対こいつ怪しい！っていうのは隔離します。
数日後にチェックを再度かけるとやっぱり陽性になった！
というケースも多々あります。
特に柴犬は不顕性感染が多い。
症状がでていないのに実はウィルス持ってました。
という子が本当に柴は多いです。
我慢強いっていうのは精神的だけでなく
身体的にもそういう特性があるのでしょうか。

そしてワクチンコントロールも絶対ではありません。
ちょうど母犬からの移行抗体がなくなったタイミングで
打たないとワクチンの効果が見込めないので
その「隙間」でウィルスに入り込まれると感染します。
後述しますが、ワクチンを打ってすぐに抗体は十分にはならず、
早くても１週間くらいかかるので、その間も無防備です。

ワクチンとあぶり出しと予防

逆に、ワクチンを打った直後は、
不活化のウィルスを「注射」しているので、
陽性がでても不思議ではないんですよね。

また、15分以上経ってからうっすら線がでたりする
「偽陽性」というのもあるんです。

白黒はっきりしないんですよね。

逆に、キャリアの疑いがある子
（ウィルスは持ってそうなんだけど、まだ発症していない）
にワクチンを打つと、発症したりするんです。

あぶり出し、と表現していました。

１頭パルボが発症すると、許される限りワクチンを打つと、
もしキャリアとして持っている子はすぐ発症するので
対処もしやすく早く沈静化するんですよね。

不思議だったなぁ。

また、パルボウィルスのワクチンはハイタイターと言って
打ってから１週間で抗体が作られる設計になっています。
ワクチンを打って、ウィルスの増殖が勝つのか、
抗体ができてウィルスをやっつけるのが間に合うのか。
１週間。「峠」はそこにあります。
不謹慎ですが某感染系映画にあるような感じです。

また、犬猫の世界では免疫力を一時的にあげる
インターキャットがあるんですが、
人にはあるのかなぁ。

誤った対処法

今はだいぶ改善してきたと思いますが、
昔のウィルス対策はまぁお粗末なものでした。

やはり、知らない＝怖い、見えない＝怖い。
意味のない対策や怪しげな対処法も多くありました。

よくあった例
『発症個体が使っていたケージは１週間放置』
→放置して時間を置くことに対してはほとんど意味がありません。
パルボウィルスの場合、平常状態で2年生息したという記録も。
むしろウィルス残したまま放置するのは感染拡大リスクを高める。
放置するくらいなら何度も消毒液をかけて拭きあげる方がまし。
やはり見えないから怖い。触りたくない。いじりたくない。
避ける。の先に差別があるんですよね。。。

『アルコール消毒』
→パルボウィルスに関してはアルコールは無効。
塩素系を使わないと意味はない。

『手すり、共通鍵、取っ手が感染拡大源』
ケージの中や使っていたおもちゃなどは
一生懸命消毒するんですけど、感染の拡大は
ケージの取っ手や共通鍵、手すりなど
ヒトの手が感染拡大の原因になっていることが多い。
そういうところ「も」消毒しないと
特定の場所だけ一生懸命消毒しても拡大は防げない。

『世話をするスタッフを交代させる』
ちゃんと消毒ができているならヒトを交代させる必要はない。
にもかかわらず、
「あなた今朝、あの子のご飯あげましたよね？」
「はい」
「もうこっちに来ないでください」
「いや、消毒したし、仕事があるから」
「感染拡大してもいいって言うんですか？」

もう会話が成り立ちません。
意味のない差別や過剰過敏な反応が多くなります。

穴の空いたバケツ

よく穴の空いたバケツに例えられます。
いくらバケツの深さを深くしたり、
素材を耐水にしたり、
強度をあげたりしても、

下の方に穴が空いていたら
水は溢れて行ってしまうんです。

全部の穴を塞いで初めて、
水が溢れないようになるので、
強度をあげたりするよりも、

小さい穴を探してそれを埋めることを
考えたほうがいいですよ。

ということ。

中世の黒魔術とか祈祷とかの世界

パルボウィルスに対して有効な
安定化二酸化塩素とか次亜塩素酸は

ほぼ無味無臭の透明の液体なんです。

この透明な水（消毒液）を撒くだけで
ひどい病気を引き起こす悪魔（ウィルス）
をやっつけられるのじゃ。

ってまるで「聖水」ですよね。

最後に

夢と希望

今、コロナウィルスで経済的にもすごい損失がでていますね。
実際倒産してしまっている会社もでてきていますし。

感染しないのに、路頭に迷い、
人生が狂ってしまった人たちもいると思うんです。
どうなんですかねこれ。
もしかしたらそっちの「被害」のほうが甚大かもしれません。

たくさんのイベントやエンタメ、施設も閉鎖されてます。
こんなご時世だからこそ、
夢や希望を与えている人たちは
諦めないで欲しいなーと（無責任だけど）思っています。

お客様の安全を優先するのも大事ですが
夢や希望を与えています！という信用を
放棄した損失もまた大きいのではないかなと。

ここで
私たちはこういうご時世だからこそ、
夢や希望を与えていきたいので開園します！
来園する、しないは自己責任で！

って言ってくれたら、普段は全然行かないけど
お！面白い！行こう！って思えるんだけどな。