コケをふかぼり!
苔テラリウム専門店へ
苔の第一人者を探して
先日、奈良は高野山で苔の魅力に出会ってから、
これはちゃんとした人に師事を仰ぎたいと考え、
苔の第一人者を探しておりました。
【過ぎ去ったコケリウムブーム】
何年か前、アクアリウム(熱帯魚や水草水槽)に続いて、
アクアテラリウム(水中と陸地を半々にした水槽)がブームになり、
そこからさらに派生して、苔を使ったコケテラリウム、苔玉など、
苔を使ったインテリアがホームセンターやアクアリウムショップ、
園芸店の一角にも並ぶようになりました。
しかし、多くの人が感じているように、既にそのブームは過ぎ去っています。
私もネットや人づてで情報を集めましたが、
数年前をピークに廃業されているところが多くありました。
そして、私が探し求める人物、、第一人者は量販店にはいません。
ピークが過ぎ去った今でも、本当に好きで、
ハマって、ふかぼりしているクレイジーな人じゃないと。
苔むすび研究所鎌倉教室
鎌倉駅からゆっくり歩いて10分。
閑静な住宅街の小さな路地に入ったところにそれはありました。
侘び寂びのある佇まい。それに妙にマッチするラボラトリー感
※「実験中」と書いた紙が置かれています
所狭しと並ぶ苔の専門書、机の上に散乱するビーカー、土、苔、実験器具類。
ガチなやつです。ここは。(こういうところを探していた!)
控え目に言って、最高です。ビンゴです。探し求めていた人です。
オーナーの園田純寛氏
事前に色々調べてアポ取ってすぐに会いに行きました。
苔は、奥が深くて飽きない。大学時代から苔を研究し、大手メーカーを経て「苔テラリウム」で独立。苔の専門家が語る独立ノウハウ
そのブログでもマニアックさが伝わって来ますね。
苔の本も出されていました
はじめての苔テラリウム―失敗しない植え方・育て方・メンテナンスがわかる
えぇ、買っちゃいますよね。
苔の種類
先日採取した苔の種類とかわかるかなーと思っていたのですが。
この杉のようなやつは「ヒカゲノカズラ」というシダの仲間。
苔は同じ種類でも状態や産地で姿を変えてしまうため、
同定はほぼ不可能であり、あまり意味はない、とのこと。
これはプラントハンター西畠さんも同じことを仰っていました。
植物の種類は約27万種。
亜種や園芸品種まで含めると100万種にも上るとか。
植物を専門にしている学者でもせいぜい2万種程度しか知らない。
植物のことを知れば知るほど、知らない種類も増えてくる。
植物を知っていますという人間ほど、植物のことを知らない人間だと。
また、コケリウムで使われるコケは量産・流通する、
いくつかの限られた種類を把握していれば十分で、
園田さんクラスになるとタイプをみてある程度育て方がわかるようです。
ヤシの木🌴みたいで可愛い、人気のコケ種。
育て方と養生
コケといえども野の物。
山から取って来てガラスに入れるだけでうまく育てば苦労はありません。
虫が出たりカビが生えたり・・・様々なトラブルも出てくるとのこと。
熱帯魚や金魚を育てる時と同様、貧栄養状態とバランスが重要のようです。
いきものの多様性についての記事でも書きましたが、
ジャングルやサンゴ礁など生物多様性があるところは貧栄養。
栄養豊富だと赤潮やイナゴなど単体生物が大発生して害になる。
こちらにある苔たちは作品として完成したのちに
数週間に渡ってバックヤードで「養生」しているそうです。
苔がお客様の元に渡ってからすぐにダメになってしまっては嫌だから。
他所の量販店に並ぶような、
ガラス容器に入れただけで高い値段で売られているのを見ると
くそー!一緒にしてくれるな!って思うらしいです。笑
実験を通して苔の生態を知る
同じ苔でも左側はきれいに丸くなっていますよね!(可愛い!)
一方、右はどうでしょう?ボッサボサですよね。
これ左側だけまめにメンテナンスをしたってわけではないんです。
管理や養生が違うだけで全然違うんですね。
こんなことを研究しているところって他にあるんでしょうか。
育て方、種類、寿命、管理法、いきもののこと、バランス・・・
変態同士話をしていたら時間が尽きません。
園田さんは微生物の研究もされていたそうです。
いきものという括りで話をするとみんな繋がってくるんですね。
マニアックすぎて、企業秘密すぎて書ききれません(笑)
苔の勉強をしている(机上だけの)学者さんは多くいるかも知れませんが、
園田さんほど苔を育てて研究している人はまず他に居ないと思います。
苔のご相談なら是非!ワークショップも開催されているそうです。
再会を誓い、惜しみながらも帰路に着きました。