ペットショップの実情 その2
なぜ売れ残りが出てくるのか
熾烈な販売競争
殺処分さえなければいいのか。
問題はそこだけで終わらない。
売れ残りがあること自体が問題。
無難な子犬子猫を他社競合と同じように並べていても
良い実績を作ることは難しいかもしれません。
レア犬種や大型犬を入れたり、
他社との差別化を図るための挑戦が
販売力を超える無理な仕入れにつながり、
そのツケが回ってくることになります。
ペット業界の経済競争の在り方が
この悪いシステムを生んでいると思います。
逆に言うとここをなんとかしない限り問題解決はしないと思います。
需要を超える、過剰な供給
まずはここを絞らないと。
店舗の従業員の気持ち
基本、みんな、犬猫が好きで働きに来る
受け入れる店の従業員(つまり私の部下)からすると、
「ちょっと!どうなってるんですか!」
「うちの店は「成長犬処理店」じゃないんですよ!!」
「仕入れた犬猫は仕入れた店舗で責任持って販売してくださいよ!」
「終生飼養義務が聞いて呆れます!」
全くもっておっしゃる通り。
最後まで責任持って飼育してくださいね!
というべきお店が、売れなくなったら
他店舗へ引越しさせるなんてね。
でも、自分が向こうの(売れない)店舗の従業員だったらどうか。
決してほかの店に引越しさせてくれ!などとは思っていない。(はず)
結局は(現場にいない)上層部の采配で犬猫たちは引越しさせられていく。
以前、当時の長にさすがに進言したことがありました。
「さすがに受け入れすぎかと。断っても良いですか?」
すると当時の上司は答えました
「うちが断ったらまた別の店舗に行って、あの子はたらい回しになってしまう。
うちで卒業させてあげよう、その力が君やこの店にはあるから」
犬猫好きないい店長でよかった。
成長犬が売れない理由
欠けたストーリー
自分の店舗で成長した犬たちの
値段を下げるのは気がひける。
そりゃあ、長く面倒見てくれば愛着も湧くし、
成長してきたって可愛い。
「あいつも、いいとこあるんだよ。安売りしたくないんだよ」
一方、他店から越してきた子は往々にして評価は低い。
「可哀想だけど、、、安くしないと売れないでしょ」
自店舗から引っ越して行った先で半額の値段で
その子が売られていたら、、、とても寂しく、哀しい気持ちになる。
「ごめんな、、うちで売れなくて」
ここにある差は何か。
「ストーリー」
だと私は思う。
どうやってここまで来たか、
どんな犬生を送ってきたか。
逆にここをはっきりさせれば、
こんな子なんだ!ってことが分かれば
愛着も湧くし、好きになる人もできるってことだ。
「知らない」は怖い
「知ってる」は安心。
ストーリーを持たせよう。
忘れられないアイリッシュセッター
その子のストーリー
忘れもしない、名犬、アイリッシュセッター。
マホガニーレッドと呼ばれる美しい毛並みを持つ、スマートな猟犬。
猟犬なだけあって、なかなかにアクティブ。
うちの店に引っ越してきた直後でこの大きさだ。
元気な盛りだったけど、悪い子じゃなかった。
しばらく店舗にいたのち、無事、卒業して行った。
数年後のこと、その飼い主さんから連絡があった。
お引越し先だったそちらの店舗では、
よくあの子が遊ばせてもらっていましたよね。
あの子の写真や動画はありませんか?と。
いいですけど、、、どうされました?
不慮の事故で亡くなられたそうだ。
当時の古い写真や動画を引っ張り出してきて
飼い主さんにお渡しし、悲しい気持ちもありながら
喜んでくださった。
愛されてたんだな。あの子。
私がいる店に引っ越してきて、私の店から迎えられてよかったと
おっしゃっていただいた。
もうかなり前の話だけど、未だに思い出す。