アリノスダマの育て方
アリノスダマの育て方
ヒドノフィツム パプアナム Hydnophytum papuanum
植物には和名、洋名、学名、通称名と複数の名前があって複雑です。
「アリノスダマ(蟻の巣玉)」はいわゆる通称名。
今回紹介するヒドノフィツム・パプアナムは東南アジアの熱帯雨林に自生する植物。
幹や根の部分が太く育つ「塊根植物」と呼ばれる仲間になります。
アリノスダマはその名の通り、塊根部分に蟻が住めるようなトンネルが空いている、アリと共生する植物です。
ご存知な方も多いかと思いますが、アリは、特に熱帯地方のものはある意味で最強とも言える生きものなのです。
・肉食性・攻撃性・集団・大量
水中におけるピラニアなんかメじゃないくらい凶暴・凶悪。
(ピラニアは言われているほど凶暴では無いそうですがアリはガチでヤバイ!)
そんなアリに守ってもらえたらそんな心強いことはないですよね。
しかも、アリが巣に運ぶエサや排泄物が植物の栄養にもなります。
いやー考えましたよね!こんな植物があるんですね。
以前私が育てていたアリノスダマは別の種類で
「ミルメフィツム・セレビカム」という名前でした。
同じアカネ科の植物です。
これは一度は芽が出て復活したのですが結局黒く病変して枯れてしまいました。
少し育て方が難しい植物です。
アリノスダマの育て方
元々は熱帯性の植物なので、暑さに強く、寒さに弱い。
秋から冬は屋内において15度以上をキープできるようにするのが理想です。
冬は葉を落とし、代謝を落として休眠します。
他の塊根植物同様、水やりを極限まで抑えると冬越ししやすくなり、寒さにも強くなります。
水やりの目安は、葉がある間は1週間か2週間に1回程度。
「土の表面が完全に乾いたら底から水が出るくらいたっぷり与える」
これが基本です。
冬、葉がなくなったら完全に水断ちします。
塊根植物色々
春になり、葉が出てきたら直射日光を避けた明るい場所に移動させましょう。
熱帯雨林や熱帯の海は栄養が少ない?
レア植物は育て方を含めて、情報が少ないです。
数少ない情報からどういう植物かを考察するのがまた、マニアックな楽しみとも言えます。
アリノスダマはインドネシアやマレーシアが原産の植物。
この辺りは熱帯雨林(ジャングル)です。
年間通して暖かく、多様な生物がすむ一方で、栄養が少ないのが特徴です。
サンゴ礁が広がり、カラフルな熱帯魚達が泳ぎ回る熱帯の海も同様で、
栄養=プランクトンが少ないからこそ、水が澄んで見えるのです。
熱帯の海やジャングルは栄養が少ないのです。
意外ですよね!
生きものが多い場所ほど栄養が豊かだと思っていませんでしたか?
生きものの「多さ」の違い
これは、生きものの「多さ」の解釈の違いにあります。
生きものが多いには2種類あって
「種類」が多いのか「数」がのかで分かれます。
熱帯の海も、ジャングルも、生き物の「種類」が多い方ですよね!
栄養が少ない→同じ餌を取り合わない→種類が増える
栄養が多い→それを餌にする生きものが爆発的に増える→大量発生
熱帯の海やジャングルは餌や場所を棲み分けるのですね。
これを「ニッチ」と言います。
一方、栄養が豊富な場所はどうなるかというと、
プランクトンが爆発的に増殖して赤潮を引き起こしたり、
今、中国でも問題になっているバッタの大発生が起きたりします。
少ない餌や生息環境の奪い合いから多様な動植物が生まれるんですね。
ウツボカズラを代表とした食虫植物も熱帯性のものばかり。
少ない栄養をなんとか確保するために進化したのでしょう。
ニッチを埋める
アリ植物に戻りましょう。
塊根の部分にはトゲのようなものが生えていますね。
おそらくアリが登って来やすいようにしたり、
湿度を溜めて水分を補給するためのものだと思います。
(サボテンのトゲも似たような役割を果たします)
そして新芽の部分がボコッと取れてクレーターのように
なっているところがまた新しい出入り口になっているようです。
この植物、着生植物といって他の木や石にくっ付いて生きるようです。
着生蘭などと同じですね。
土に触れない分、栄養素が不足しがち。
だから栄養を運んでくれるアリに住んでもらうようになったのでしょうね。
いかがでしたでしょうか。
そんな植物の背景を知るとまた欲しくなって来ちゃいますよね!
今後も面白い植物を見つけたらレポートしたいと思います!