チベットの犬をふかぼり
チベットの犬
様々な犬種の起源がここにある
高地で隔離されてきたとはいえ
ここまで犬種の起源が集まるというのも本当に珍しい。
俗世と隔絶という理由だけなら、他の場所でも良かったはず。
もっともっとチベットのことを勉強しなければならない。
思った以上に奥が深かったので
時系列で追っていくことにします。
今、持ち合わせているカードは4犬種
私がチベットの犬として持ち合わせている犬種と情報を
整理してみますと、以下の通り。
チベタンマスチフ
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/02/DSC_1526-e1583152381324.jpg)
チベタンスパニエル
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/03/DSC_1285-e1583153060929.jpg)
チベタンテリア
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/03/DHOKI_APSO-e1583145822757.jpg)
ラサ・アプソ
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/02/Lhasaapsoashley.jpg)
以上4犬種がこれまでの情報。つまり「浅堀り」です。
この程度の情報はさらっと調べればすぐ出てきます。
本番はここから。
いつも思うのですが、私が好きで勝手に深ぼっていますが
どれくらいの人がついていけているのだろう、、、不安。
振り返ったら誰もいないパターンだな、これは。
いいんですけど。笑
ここからがふかぼり
チベタンライフドットコム!
面白いサイトを発見した。その名も
チベタンライフドットコム
ここに書かれている記事によれば
コンパニオンドッグは僧侶や貴族のペットとして小型化して飼育され、
使役犬は羊や商隊を守るガードドッグとして活躍した。
ガードドッグは日中寝て夜見張り、よく吠えたと言う。
ここまでは良い。問題はここから先だ。
コンパニオン・ドッグ
- 1.Goh-khi
- 2.Lhasa Apso
- 3.Jemtse Apso
- 4.Ursu Apso
- 5.Gyakhi
使役犬
- 6.Dhokhi
- 7.Shakhi(またはCongkhi)
え?全部で7種いるじゃん!
(私の持ってるカードは4種しか無かった!)
どういうこと?!
この中で私の持っている4種のカードと
一致しているものが幾つかある。
2.Lhasa Apsoはラサ・アプソ。
3.Jemtse Apsoはチベタンスパニエルの別称だ。
そして
4.Ursu Apsoは初めて聞いた名前だけど、
どうやらチベタンスパニエルのワイヤーヘアータイプのことらしい。
5.Gyakhはチベットペキニーズのことであると書いてある。
1.Goh-khi、6.Dhokhiと7.Shakhiはなんだろう?
私が持っている残りのカードは
チベタンマスチフ、チベタンテリアしか残ってない。
とりあえず1は置いて置いて、
先に使役犬の6.Dhokhiと7.Shakhiを攻めていこう。
コンパニオン・ドッグ
- 1.Goh-khi→?
- 2.Lhasa Apso→ラサ・アプソ
- 3.Jemtse Apso→チベスパ
- 4.Ursu Apso→ワイヤーチベ
- 5.Gyakhi→ペキ
使役犬
- 6.Dhokhi→?
- 7.Shakhi→?
7.Shakhi Dog
「shaki dog」で調べるとこんな犬の絵がヒットした。
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/03/b064e500ca6a2ac804496402e8a4cb12.jpg)
え?いきなり全然見慣れない犬の姿。
チベタンマスチフでもチベタンテリアでもない。。
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/03/DSC_4296-e1583145803962.jpg)
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/03/DHOKI_APSO-e1583145822757.jpg)
説明文を読むと「チベタンガードドッグ:Tibetan Guard Dog」
とも言われ、商隊を守ったとある。初登場の犬ですね。
苦労して探し回って
たった一枚の写真を探し当てました。
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/03/264b6df5c4df762dc0ce40fd1786ad6b.jpg)
これだ!
おそらくこの2頭が先のチベタンライフドットコムで
書かれていた、「Shakhi」と「Congkhi」のことです!
いろんな意味で鳥肌が立ちましたね。
おそらく、と言うか絶対、チベタンマスチフから派生した
ほんの少し小さくて細身のマスチフたちですよね!
ニューファンドランドとかラブラドールとか
フラットコーテッドの雰囲気が見て取れませんか。
ヒマラヤン・シープドッグや
カシミール・シープドッグにも繋がっていくのだと思います。
Dhokhi Dog
賢明な読者はもうお分かり頂けたかと思いますが、
チベタンマスチフ、チベタンテリアの2種が共に
このDhokhiに該当します。
再度、チベタンライフドットコムに戻ってみましょう。
Dhokhiには「3」タイプ存在し、
ニューファンのようなチベタンマスチフと、
チベタンテリアとして知られるDhokhi Apsoがいると。
もう一種The Jemtse Apso Dhokhiは毛の短いプーリーのような姿である。
改めてwikipediaをみると
チベタンマスチフの項には「チベット語ではドーキーと呼ばれている」
チベタンテリアの項には「ドーキ・アプソ(Dhokhi Apso)と呼ばれる」
と書かれていました。
まとめるとこうだ。
コンパニオン・ドッグ
- 1.Goh-khi→?
- 2.Lhasa Apso→ラサ・アプソ
- 3.Jemtse Apso→チベスパ
- 4.Ursu Apso→ワイヤーチベ
- 5.Gyakhi→ペキ
使役犬
- 6-1.Dhokhi→チベタンマスチフ
- 6-2.Dhokhi→チベタンテリア
- 6-3.Dhokhi→短毛プーリー
- 7-1.Shakhi→チベタンガードドッグ細身
- 7-2.Congkhi→チベタンガードドッグガッチリ
Goh-khiだけは最後まで分かりませんでした。
おそらくチベタンスパニエルの祖のような扱いの
小型犬だと思います。
チベット語から紐解く犬
独特なチベット語
犬種の表現の仕方はいろいろあると思います。
でも、チベタンスパニエルは「スパニエル種」ではないですし、
チベタンテリアも「テリア種」ではありません。
つまり、今流通している犬種名は見た目だけからの「後付け」なのです。
(だから混乱するんだ!)
khi=犬
どうりで「なんちゃらkhi」がいっぱい出てくるわけだ!
ShakhiとかDhokhiは「Sha犬」、「Dho犬」ってことだ!
apso=髭を生やした
ラサ・アプソなんかに使われるapsoは髭を生やしたという意味らしい。
そこから派生して
「ヤギ」「黄金のヤギ」「獅子犬」
という意味合いも含まれる。
チベタンスパニエルも「Jemtse Apso」
って呼ばれてたことを考えると、
もはやヒゲでもヤギでもない気がするけど。
様々な犬種の別名から
ラサ・アプソ
ラ(lha)は神、サ(sa)は土地を意味する。=地の神。あるいは
「ラ(ra)」はヤギ。ヤギの地という説も。。だいぶ差がある。
チベット語では
アプソ・セン・カイ(Apso Seng Kyi)と呼び
「よく吠える獅子犬」という意味。
Goh-khi
最後までわからなかったGoh-khiは
Goh:鷲を意味するらしい。「ワシ犬」ってことだ。
チベタンマスチフ
Dho-khi:ドーキー ドー犬ってこと。Dhoはわからない。
Gohと同様何か生き物を指すのかも。
チベタン・テリア
チベットでは
ドーキ・アプソ(Dhokhi Apso)と呼ぶ。
Dhokhiはチベタンマスチフだから
「もしゃもしゃマスチフ犬」だ。
チベタン・キー・アプソ Tibetan kyi apso
![](https://dogcatplant.com/wp-content/uploads/2020/03/a4382b071b3528df144e16eaf0939598.jpg)
「アプソ」を調べていたら見つけた犬種。
Do You Know What “Apso” Means?
うぉぉ!なんじゃこの犬は!
The Bearded Tibetan Mastifより。
Tibetan kyi apso=チベットのもしゃもしゃ犬!
そのまんまやんけ!
ヒゲを生やしたチベットのマスチフ。
「ほぇ〜!」
声が出てしまいました。
こんな犬がいるんですね!
チベタンマスチフとチベタンテリアの中間種ですよね!
こんな犬がいるとは知らなかった。
宗教と犬
犬は聖なるものチベット仏教
チベット仏教の歴史は犬の歴史に比べるとだいぶ新しく、
7世紀前半、吐蕃のソンツェン・ガンポ王が
チベット統一を果たしてからになります。
「寺院で飼われた」とか「マニ車を回す」という話は
長い長い犬の歴史の中では「ごくごく最近のこと」になる。
それまでは遊牧騎馬民族の中での
アニミズムが主流だったに違いありません。
他の宗教の中には犬=不浄なものとされがちですが、
チベットで犬は「聖なる存在」「神の使い」として
大切にされたようです。
それはチベット原産の犬の歴史を調べると随所に見られます。
「僧院から、権力者の内外の王侯貴族に贈られることで、
政教の結びつきを強め、社会の安定に寄与し」
ラサ・アプソ みんなの犬種図鑑 より
「本種を他者に寄贈することは幸せを分け与えることを意味」
チベタンテリア wikipedia より
また、大切にされ一般庶民に飼うことを許されなかった、
門外不出だったというのも、選択交配が計画的で
犬種特性が伸ばされた理由かもしれません。
もっと、もっと、深い歴史があるのだと思います。
今回はその片鱗だけ。垣間見ることができました。
まとめ
犬種がたくさん生まれたチベット
よく考えれば当然のことかもしれませんが、
当時「純血種」と云うきっちりとした線引きはなく、
「仕事」とか「役割」とか「大きさ」で
緩やかな犬種形成が行われていたのでしょう。
大きさ別で言えば
小型愛玩犬ー中型牧羊&作業犬ー大型護羊犬ー超大型番犬
タイプで言えば
鼻ぺちゃーもじゃもじゃーマスチフ
それぞれの掛け算でバラエティ豊富な犬種群が
当時のチベットにいたのだと思います。
犬種製造地域だこれは。改めてすごいと思う。
本当の意味で「犬の聖地」だなぁと思いますね。
チベット行きたい。