世界最古の愛玩犬たち

犬猫

世界最古の愛玩犬たち

マルチーズ

マルチーズ
そもそもの起源となっている犬

Sannse – Originally from en.wikipedia; description page is/was here. Original uploader was Sannse at en.wikipedia, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=482848による

原産国はその名の通り、地中海に浮かぶマルタ島

今でも高い人気を集めるマルチーズですが、
これがもう、びっくりするぐらいのガッチガチの古代犬と
知っている人が果たしてどれくらいいるだろうか。

紀元前1500年頃フェニキア人
マルタ島に持ち込んだのが起源とされている。
(ちなみに日本はその頃縄文時代ですよ!)
その後ギリシャの壺に書かれていたり、
エジプトの王が愛したという記録もある。
Q.フェニキア人って何者なの?(後述)

以降、
この「白い小型犬」は船乗りたちによって
地中海周辺諸国全域を巻き込んで
人類の歴史とともに歩んでいくことになる。

「白い小型愛玩犬」全ての物語のスタートが
マルタ島にあると言っても過言ではないのです!

過言かどうかはどうか読んでみてから判断してみてください。

ビション・フリーゼ

ビション・フリーゼ

マルチーズHeike Andres – 投稿者自身による作品, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6700962による

ビション=マルチーズ、フリーゼ=巻き毛という意味。

プードルの起源ともなったと言われる「バルビー」と
マルチーズなどを掛け合わせて作られたらしい。

Sannse – Originally from en.wikipedia; description page is/was here. Original uploader was Sannse at en.wikipedia, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=482848による
バルビー

サラサラストレートヘアが売りのマルチーズ
クリクリキュートなアフロヘアが売りのビションフリーゼ

人気が二分するのも頷けます。
「あなたはどっち派?」
みたいな話が男臭い船乗りの間でされていたのでしょうか。

Sannse – Originally from en.wikipedia; description page is/was here. Original uploader was Sannse at en.wikipedia, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=482848による
Heike Andres – 投稿者自身による作品, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6700962による

14世紀以前にはすでにこの姿をした犬が存在していたそうです。
どこに?スペイン領カナリア諸島テネリフェ島に。
ビションフリーゼの前身となる犬「テネリフェ」ですね。
もちろん船乗りじゃないと運んで行けない場所である。

テネリフェ島

14世紀ここからイタリアに運ばれ(青矢印)、
16世紀の第三次イタリア戦争でフランスが
イタリアに侵攻した際に、フランスに渡る。(オレンジ矢印)

これでようやく、フランス原産となったわけです。

 

といえば聞こえはいいけども。ダマサレナイデ!!

作出で使われた「バルビー」は15世紀にフランスで誕生した犬
ビションそっくりなテネリフェは14世紀以前テネリフェ島にいた

ここに矛盾が生じています。

  • 作出時期が間違えている?
  • 前身のテネリフェは縮れてなかった?
  • そもそも起源が誤り?

これは推測の域を出ませんが、
そもそもテネリフェ島に「テネリフェ」を持ち込む前から
たくさんの白い小さな愛玩犬たちが
地中海を中心に船乗りを介して
各国の貴族の間で飼われていたに違いありません

だって、マルタ島に、紀元前に持ち込まれたのが始まりですから。
テネリフェに渡る前にフランスやスペインにも行ってるでしょう。
アフリカにも寄り道していても不思議ではありません。

Q.そもそもテネリフェに連れてくる意味あった?
(後述)

 

気を取り直して。
まだまだ、この地中海沿岸には白い愛玩犬たちがいます!

14世紀、これらの系統は
「ビション・マルチーズ」「テネリフェ」
「ボロニーズ」「ハバニーズ」
の4種類に分けられた

とあります。
ビション・マルチーズはマルチーズですね。
テネリフェは今日のビションフリーゼとなりました。

残りの2タイプを追いかけていきましょう。

頑張って、後半戦、スタート!

ボロニーズ

ボロニーズ

Pleple2000 – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1390389による

イタリアはボローニャ原産の犬。

少なくとも11世紀には登場していた犬種。
マルチーズに比べて縮れ毛の影響があるのは見てわかります。
ビション同様、ウォータードッグの血がどこかで入っていますね。

毛色は白しか認められず、当時の貴族に溺愛されていたとされています。
金の首輪やネックレスをつけられたり、高級なお肉を食べさせられたり。
まるで現代に通じる感じがしますね。

マズルも短く、サイズも若干プードルより小柄。
今の日本でも人気が出てもおかしくないのですが。。。
白しか居ないというのがネックなのかも。

ハバニーズ

ハバニーズ

Obiwanhavanese – 投稿者自身による作品, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7355038による

白い愛玩犬の最後はちょっと「遠距離」です。
原産は地中海西部、あるいは大西洋を横切って、
キューバ(ハバナ)とも言われています。
しかし、犬種名のハバニーズは後付けだそうです。

当然、地中海からはるばる大西洋を渡ってカリブ海まで運んできたのは
16世紀のスペイン人、コンキスタドールでしょう。

その後貴族の間で人気となって、高ステータスな愛玩犬として
キューバの貴族の間でも人気となり、フランスやロシアに輸出された

とあります。
マルチーズ、ビションフリーゼ、ボロニーズが
既にいたであろうにもかかわらず、
Q.わざわざバハニーズを逆輸入した理由は?(後述)

そもそも地中海にいた犬から作られたわけですから、
それはつまり逆輸入でしょうね。

ところが、輸出先のフランスでも、ロシアでも、
原産地のキューバでも革命が起こって
ヨーロッパ中の貴族で人気を博したこの犬が絶滅の危機に瀕します。

そこを救ったのはアメリカですね。
キューバに来ていて近かったのも良かったのだと思います。

歴史に翻弄された犬種。ハバニーズ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ざっくりですがこの中には中世貴族の争いや
ヨーロッパ中で起こった革命など
世界史の授業で頭を悩ませた世界的な出来事が
たくさん起こっていた激動の時代ですね。
(ハプスブルグ家なんて聞いただけで鳥肌が立つ)

そんな中で白く輝く小さな愛玩犬の歴史。
んーなんか素敵です!

ここで、記事中で疑問になっていたことを
考察していきます。

Q.フェニキア人って何者?

商売と航海術が天才的だった古代民族。
その血は現在も受け継がれている
今回の主役と言っても過言ではないですよね。
フェニキア人という存在は紀元前のポエニ戦争で
滅んだことになっていますが、
「商売」と「航海術」に長けた人たちはその後も
ずっと生き続けた、ということですね。

 

Q.そもそもテネリフェに連れてくる意味あった?
Q.わざわざバハニーズを逆輸入した理由は?
この二つに関しては同じ考察です。

当時これらの犬を愛していたのはお金持ちの貴族たち。
宝石や贅沢品も一緒に集めてさぞや
愛犬を溺愛・自慢していたことでしょう。
そして、他の貴族たちよりも、
より美しく、より変わったより可愛い子達を
求めていたに違いありません

そこにはお金の糸目は問わなかったでしょうね・・・

そこに「商売」と「航海術」に長けた人たちが
目をつけないはずはありません!

白くて、可愛い、変わっている愛玩犬たちが
高額で取引されていたのだと、私は思います。

今でいう、ブローカーですね!

「移動」とか「輸送」ではないんですね。
高額で取引される「商品」を、
常に船に積んでおくのはもはや当たり前でしょう。

先日、キューバに行ってきた帰りに
非常に珍しく可愛い犬を連れてきたんですよ!
マルチーズでもビションフリーゼでも
ボロネーゼでもありません!
ハバナから連れてきた、ハバニーズです!

なんてね。

それでもやっぱり、最低限の条件として
「純白であること」と「小型であること」が
あったのかもしれません。

最後に最大の疑問です。
船に乗っている間の犬たちのトリミングって
どうしていたのかな?と。
貴族に見せる、合わせる前に絶対に
綺麗に着飾ってたトリマーがいるはず・・・
船中は放置で合わせる直前に綺麗にしていたのかな。

トリマーの歴史も調べていきたいですね!

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Posted by kyotako

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