純血猫種の不都合な真実

犬猫

溢れる情報に埋もれる不都合な真実

情報がありすぎるとその取捨選択に迷う

情報が溢れかえる現代社会。
情報過多で正しい情報がそうでないものに埋もれてしまうことも多いようです。

業界では当たり前が必ずしも一般的には常識ではないことが
多くあると言うことで、そんなこと知ってるよ!
と言うこともまた改めて言っていく必要があるなと最近特に思います。

スコティッシュフォールドの不都合な真実

人気の垂れ耳猫


今最も人気のある猫の種類は?と言われれば、
間違いなくこのスコティッシュフォールドでしょう。

猫種あるあるですが、ある程度の知名度が得られるまで
間違って呼ばれることが本当に多い。
メインクーン→メイクインみたいな。
スコティッシュフィールドって呼んじゃう人結構います。
フィールドって・・・

最大の特徴はその垂れた耳

一目見てわかるその可愛さ。垂れ耳ですよね!

特に、オスはエラが張って顔が大きく、横長になるために、
より、おまんじゅう感、ドラえもん感がでて可愛く見えますよね!

最近では某有名YouTuberが飼い始めたり、
芸能人が飼っていたりとさらに人気に拍車がかかっているようです。

垂れ耳は2割〜3割

垂れ耳になるのは生まれてくる子の中で、
2割〜3割だということを知っている人が意外と少ない。

子猫の時には垂れていても、
成猫になるにつれだんだん耳が立ってくる傾向があります。

大人になって耳が垂れている猫は、
子猫の時はドラえもんのようにぺったり丸顔になっていたはずです。


この写真、フリー素材で持って来たものなので
兄妹なのかどうかは不明ですが、4頭兄妹とするとまさにこんな割合です。

一番左のグレーの子は成猫になっても垂れ耳のままでしょう。
左から二番目はちょっとお辞儀をした耳で、成猫になったら
完全に立ち耳になると思います。残りの2頭は生まれつき立ち耳。

 

言われてみればちょっと耳が垂れてるね、ってくらいの子も多い。

最近は立ち耳のスコティッシュも可愛いので
ある程度価格がついて売られることも多くなりましたが、
やっぱり、垂れ耳の方が高い値段がつくことが多いです。

なぜ垂れ耳100%にならないかは後述します。

骨軟骨異形成症

この可愛い垂れ耳ですが、実は遺伝的病気の一種と言われています
耳は軟骨でできています。
この軟骨が正常に働かず、異形になってしまう病気なのです。

サモエドや柴犬、チワワも子犬の時には
(重力に負けて)垂れ耳ですが
成犬(1歳)になる時には耳が立って来ます。

1歳に成るまでに軟骨が固まってしまうので、
生まれつき耳が大きい子は垂れ耳にならないように
テーピングで支えて立たせたりします。

逆にシェルティなど一部の犬種では耳先だけ折るように
テーピングして耳の形を整えたりしますね。

軟骨は耳だけにあるものではありません。
関節とか様々なところにあって体をスムーズに動かす役割を果たしています。
それが遺伝的に「正常に働かず」異形になっている、というわけです。

俗に「スコ座り」という独特な座りかたをするのが
可愛い!と取り上げられたりしますが、軟骨の異常で
体に痛みがあるために、こういう座り方をするとも言われています。

何も知らないひとが、「可愛い〜!」と言っているのに
水を刺すのもあれなのですが、私はちょっと複雑な思いになります。
愛犬や愛猫の仕草を可愛がるのは本当はとってもいいことなんですけどね。。。

垂れ耳同士の交配禁止

猫が感じる痛みを正確に測定することは難しいので
日常生活でどの程度「苦しいか」は定かではありません。

骨軟骨異形成が強ければ強いほど、弊害も多くなるのは明らか。

なので、基本的に、垂れ耳同士の交配は禁止されています。

立ち耳のスコティッシュと使うこともありますし、
別の猫種(アメリカンショートヘアとか)を使うこともありますし、
全く血統などない、雑種猫(domestic cat)を使うこともあります。

それでもちゃんと血統書は作れます。
そうでもしないとこの垂れ耳形質は残せない守れないのです。

100%垂れ耳が生まれない理由も、
いろんな毛色、毛の長さ、顔立ちの子がいる理由も
ここにあります。

絶妙なバランス。知識と経験が必要

異種交配を続けるとどんどん垂れ耳の血は薄まって
いずれ消えていってしまいます。
どこかで「戻し交配」といって垂れ耳同士を交配させて
血の濃さを戻すことも必要なのです。

これはきちんと遺伝の勉強をしないとコントロールが難しいです。

当然のことながら、親とする猫がこれまでどういう交配をされて
今に至るかを知らないと、どのくらいの濃さの血があるか
わかるはずがないですよね。

東京の動物王国にいたヘアレスドッグもこれと同じタイプです。
ヘアレスの血が濃くなると致死遺伝子が働いて、子犬は育ちません。

ヘアレス犬のカリンはサモエドのマロとヘアレスのカムリの子
ボーダーコリーとよく間違えられるベコはカリンと姉妹。

 

 

不都合な真実

残念なことに全てのブリーダーがこれを承知でモラルを守って
繁殖をしているわけではありません。垂れ耳の方が高く売れるので
無理な交配で垂れ耳同士を交配させて多く垂れ耳を産ませるようなことも、、、

あるいは、垂れ耳の交配相手に、足の短いマンチカンを使い、
垂れ耳で短い足=スコマンチを作ろうとするようなことも。

最近になってマンチカンはスコティッシュの遺伝特性と
違うのではないか、と言われていますが、

共に希少、病気かも?という中でそういう個体同士を交配させるのは
乱暴、無謀、ビジネスを優先してモラルを置き去りにしている行為と
言わざるを得ません。

また、多くのペットショップは
その子自身に、「現状、疾患や欠点があるかないか」だけを見ます。
その両親や兄妹のことを知って犬猫を仕入れてはいません。

犬猫を仕入れてからしばらくして、血統書を得るので
どういう交配でその子が生まれているかを知らないで
仕入れているということです。

もちろん、ペットショップも将来的に遺伝的疾患が
出る可能性が高い子を買ったり売ったりするのはリスキーですから
好んでそういうことをするショップはあまりないと思います。

昨日と全く同じ結論になりますが、

両親や兄妹と会うことができたり、里帰りができるブリーダーさんを選ぶ
のが一つのポイントかと思います。

 

繁殖すること自体(個人的には)反対ではない

先に例を出したように、ヘアレスドッグもこのスコティッシュフォールドと
同じように遺伝気質を持っています。

「スコティッシュを繁殖させること自体が虐待だ!」
という過激な主張をされる方もいらっしゃいます。

ただ、スコティッシュに限らず、
純血種全てに置いて
近親交配とそれに伴う遺伝的疾患とのリスクの間にいるので
私は全てが全て反対という意見ではありません。

むしろきちんとした知識と経験を持ったブリーダーさんたちで
素晴らしい犬種猫種を残していってほしいなーと思うくらいです。

問題となっているのは遺伝的疾患やリスクを無視して繁殖を繰り返す
悪徳ブリーダーで、それは無くなって欲しいと思っています。

犬猫

Posted by kyotako

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