動物感覚

書評, 犬猫, 生きもの

興味深い動物関連の一冊

「動物感覚」をお借りしました

SNSで最近流行りの「本紹介」バトンで偶然回ってきたもので、
その方が紹介していた本に興味を抱きました。
動物感覚 アニマル・マインドを読み解く

自閉症をもつ動物科学者が動物の行動と感覚を解説した一冊。
試しに買ってみようと調べたら、、、

↑のリンク先を見ていただければわかるように、エラく高い!
どうもプレミアが付いているようです。
ちなみに定価は3200円(税抜)なので倍くらいします。

こんなに高いのなら、もう、いいやと半ば諦めていたら
バトンを回していただいた方の善意でお貸しいただけることに!
(ありがとうございます!)

結論としては、
高くても、内容はそれ相応で濃厚充実。
とても読み応えのある本でした。

私の下手くそな文章で内容をつらつら書き並べても
ネタバレになるし、全然面白くないので、
読んで、考えたこと、を中心にご紹介していきます。

 

動物はこんなふうに世界を知覚する

正直に書くと、第一章、第二章はあんまり面白くないです。

動物はこんなふうに世界をみているのだよ、
という「実例」や「経験談」が長く綴られています。
「私はこんなふうにして牧場の欠点を見つけて改善させることに成功しました」
という内容です。

結論としては、
ちゃんと動物の視点を意識して「観察」しましょうね!
ということ。
自閉症を持つ著者は一般の健常者に比べてより、
動物的視点を持つのが得意であると書かれていました。
なるほど、、。

サモエドは雷が嫌い

この本を読んでいたタイミングで、とてもタイムリーな事件が起きました。

1ヶ月くらい前のこと、ひどい嵐がありました。
うちにいるサモエドのマルフィノは雷がものすごく苦手で、
強い雨が降り始めると、途端に意気消沈します。

チーン

これだけで済めば良いのですが、雷が本当に来ると
逃げ場所がない、追い詰められた動物のようにパニックになります。

そわそわと落ち着かず歩き回り、
呼吸数、心拍数は急上昇、ハァハァとパンティングを続け、
よだれが垂れ、目は泳ぎ、飼い主の声も届きません。

サンダーシャツ

もうだいぶ高齢なので体の負担を考えると笑ってもいられないのです。

感覚をさえぎる、抑えつける=心落ち着ける

サンダーシャツという商品があります。
サンダーシャツ クラシック グレー S サイズ

少し体を締め付ける、圧迫するようになっているものです。
圧迫が動物落ち着ける一定の効果があるというのは、
この本にも書かれていました。

牛、馬、豚などを治療する際に獣医さんは
気持ちを落ち着かせる「締め付け機」なる装置を使用するそうです。
(どなたか知っていますか?私は初めて聞きました)
大動物、経済動物である家畜にとって、パニックは命にも関わるし、
その乳や肉の品質にも関わる重大なところですもんね。

また、ある種の動物は視覚をシャットアウトすることが
気持ちを落ち着かせる効果があることも知られています。


競走馬がつける、ブリンカー(目の横を覆うマスク)や
シャドーロール(鼻先に着けて影を見えないようにする)

猛禽類を落ち着かせるために視界を遮るマスクをかけるのは
割と知られていることだと思います。

これは視覚に頼る動物には有効なことですね。

 

マルにとってこのシャツは気休めにしかなりません。個体差があるのでしょう。
あるいは、聴覚を遮るものがあれば雷鳴が聞こえなくなって効果が期待できるかもしれません。

耳栓・犬で調べたらこんなものが

違う、そっちじゃない。。。

晴天の霹靂

そんな嵐の時期は過ぎ、初夏の陽気が続く今日。
マルがなぜかそわそわしています。

明らかに何かに怯え、雷があった時とまるで同じ様子。

どうした?マル?

犬は人に聞き取れない音域も聞くことができます。
「遠方に雷が起きているのかも、、、?」
「No」ネットで調べてもここ数日、関東地方で雷情報は皆無。

「運動会の空砲?」
「No」そもそもそんな時期ではないし、コロナのこの時期にあるわけがない

一体なんの音にビビっているのか謎でした。
が。ある時に特に反応することが判明しました。

私が(二階で)椅子を引く音でした。

二階で椅子をひく音がズズズ、ゴゴゴ、と響く音に怯えていたのです。

これまではそんなことがなかったのになぜ突然?

暖かくなり、敷いていたカーペットを交換するため
一時的に床に椅子を直接置くようになったのが数日前のこと。

再び新しいカーペットを敷いて、マルの平穏は取り戻せましたとさ。

一安心のマル

動物と生活するといろんなことに気付かされます。

ヒトはフィルターをかけて物事を知覚している

ヒトは大脳新皮質が発達していて、
入って来る様々な情報を「処理」しています。

アハ体験というのが一時流行ったかと思います。
脳科学者である茂木健一郎先生が広めたもので
映像の一部が変化していることに気付けるかどうか、というもの。

 

いや、全然わかりません。私。

変わるはずのないものは、変わらないように見える

のが人間の脳ですね。
そのほうが余計な情報処理をしなくて済みます。

おそらく、これに気づくのが動物だったり、
著者のような一部の自閉症の人だったりするということです。

本来は備わっている機能だけど、進化していく過程で
不要と見なされ、使わなくなった感覚なのでしょう。

 

ムツゴロウさんも観察の鬼

動物を理解していく上でこういう感覚はとても重要であるということです。

馬や牛は今までそこに存在していなかったものが
ある日突然現れると、そこを避けたり、近寄らなかったりします。

馬場の隅に何気なく置かれたジャケットやバケツなど
ヒトが何も気にしないものに、馬は警戒し、驚き、避けます。

特に、はためいたり、動いたりするものは警戒して近寄らず、
全く動かないものに対しては、好奇心が優って少しずつ近づいて来る

この特性を理解して、ムツさんは様々な動物たちと
接触することに成功してきましたね。

牛や馬の群れの中に同様に寝転んでも、踏まれることはありません。
(あー!動物王国があった頃だったら私が体を張って実験していたのにな!)

 

まだ本の中では序盤の内容しか触れていませんが、
いろんなことを考えさせてくれますね!後編は明日以降に!

書評, 犬猫, 生きもの

Posted by kyotako

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