ドッグトレーニングの歴史
ドッグトレーニングの歴史
昔は「トレーナー」はいなかった
色々調べましたが、
ドッグトレーニングの歴史について
しっかり書かれている文献、
サイトは見つけられませんでした。
どうやってもしつけ教室や専門学校の
「広告」「宣伝」しかヒットしなくて・・・。
「そういうんじゃないんだよ!」
遥か昔、純血種という概念もまだなかった時代。
犬をトレーニングする「専門の人たち」はいませんでした。
あいつ、イヌ扱うのうまいよな、
あいつは馬に乗るのが上手だ、
あいつは弓がとてもうまい。
そんな感じでしょうか。
番犬、牧羊犬、そり犬、猟犬、、、
それぞれの世界、時代に様々な犬の「仕事」がありました。
そして犬の力を借りて仕事をしていた人たちは
お世辞にも裕福とは言えない生活を送っていた
人たちがほとんどでした。
もちろん、中世の時代より、貴族や裕福な人が
甘やかしたり、ワガママをいうのを良しとする
コンパニオンドッグ(愛玩犬)と呼ばれる
「仕事」をしていた犬たちもいましたけれども、
一部の少数派でしかありません。
そしてその子たちはある意味ワガママが仕事。
きっちりトレーニングをして言うことを聞かせる
こと自体がナンセンスだったはず。
犬は貧乏な人たちの生活、仕事を支えるパートナー
だったんですね。
一部のセレブだけが得られる恩恵ではなかったはずです。
ではその人たちはどうやって犬を「しつけ」ていたのか。
羊飼いたちは羊の中に子犬を置いて慣れさせました。
先に既にその仕事で活躍していた犬たちに
「新人」の若い犬たちをあてがい、「教育」をさせていたに違いありません。
犬が犬に教える文化、「犬社会」
昔、私がいた動物王国にはそういう
「犬社会」「犬文化」がありました。
北海道に動物王国があった時代から
「王国犬社会」と言うワードがありました。
群れの中にはボスがいて、子犬がいて、
時に「負け犬」がいて。
トラブルあり、喧嘩があり、世代交代があり。
そこには「文化」と呼べる見えないものが確かにありました。
もちろん、そこにヒトが全く介在しなかったわけではありません。
負け犬を放置すれば最悪な事故にもなりますし、
特に未去勢(玉付き)のオス同士は権力争いになりやすく、
ヒトがそこはうまくコントロールする必要がありました。
一枚の写真を見ていただきたい。
サークルにいる柴犬は群れの中でナンバー2であるシバレ。
外を歩く白い大きなサモエドは次期ナンバー1候補のオビ。
2頭の関係は非常に複雑。
シバレはオビよりも年上で先輩。
しかし、柴犬はナンバー2になれてもナンバー1にはなれない器。
今は若いオビがそのうちナンバー1のボスになるはず。
順番にトイレ出しをしないと絶対トラブルになる。
昔の人たちはどうしていたのか
わざわざお金を払って、
専門のトレーナーをつけてトレーニング?
要らない、要らない!
そう言われていたに違いありません。
彼らは牧羊や兵隊、商隊など本業がある中で
専属のしつけトレーナーなどいなくても
上手に犬たちをしつけて「使えて」いました。
それが出来たのは長い歴史と文化、
犬種特性と環境で優秀な犬を作り上げてきたのです。
それだけ「犬種」の違いは重要です。
吠える、噛む、落ち着きがない、など
一見問題行動と思われるものも、
その犬種の「特性」である可能性があります。
問題行動、しつけを考える前に
まず犬種特性を知り、自分が飼う犬を理解するところから
スタートするのもいいのではないかな。と思いました。
ドッグトレーニングは戦後
第二次世界大戦の時、文字通り、
世界中が「犬どころじゃない」時代になりました。
全てが戦争一色。
一部の犬種は軍用犬として利用されることも。
それ以外の犬種は大概が絶滅かそれに近い状態になりました。
戦後ですね。文明が進歩し、軍用犬も不要になり、
それを教えていた人たちが犬のトレーニングを始めました。
服従訓練やコマンド、アルファなどといった
訓練法はそこから始まっているからですね。
アイコンタクト、リーダー、タッチング・・・
細かい動作にクローズアップし、
「こうあるべき」という理論や方法が次々と生まれ、
「褒める」とか「叱る」とか「正」とか「負」とか。
「イヌとはこう接するべきだ、こうしつけましょう」
「昔はこう言われていたけど、今のやり方は違います」
「犬のしつけかた、接し方」がブーム、流行になっていました。
ちょっと待って。
ヒトとイヌの関係は流行ではないはず。
私はもっともっと原始の時代の
ヒトとイヌの関係に立ち返って
彼らと向き合っていきたいと思っています。
何万年も前から、ヒトとイヌは友達だった。
イヌは一部のヒトだけが上手に扱えるという
特別な存在ではなかったはずだ。
誰でも、みんな、仲良くなれる。通じ合える。
彼らとの数万年の付き合いを信じたい。