腐るな!大丈夫、発酵する
共に生きよう
菌と共に生きる
動物王国のような場所を作るべく、活動と発信をしています。
毎日365日こうやって活動報告や思ったことを記事にしています。
動物王国をふかぼり
2021年抱負
醤油、味噌、酒、漬物。
身の回りにある発酵食品。
昔の人は菌と会話し、上手に共存できていた。
しかし今は、除菌・抗菌・殺菌。菌を一方的に悪者にして縁を切ろうとしている。
もののけ姫は1997年の作品だったんですね。びっくりです。そんなに経ちましたか。
まさに不朽の名作。
もののけ姫は「サン」でしたが、今回取り上げるのは「キン」です。
共に生きよう。
今日のテーマはこれです、以上。と言っても過言ではない。
けど、続けますね。
先日、寺田本家にお邪魔しましたがその23代当主、寺田啓佐氏が著した本。
伺う前に読んでおけばよかった。
原点となった「五人娘」や発芽玄米酒「むすひ」「醍醐のしずく」が生まれたエピソードが書かれていて、まさにメイキングストーリー。出来上がった酒そのものの品質というよりはこの生まれた物語も合わせて飲めば美味しさもひとしおというもの。
私が先日伺った際、
「この五人娘はこの寺田本家で一番スタンダードなお酒です」
と紹介されて、まぁそれは嘘ではないのですが、私は、
「あぁなんだ、普通のお酒ね」
という印象で終わってしまっていました。(なんて勿体無い!)
この寺田本家での「普通」は他所の造り酒屋の「普通」とは全く別物である
というところが全く伝わってなかったのは非常に勿体無いと思ったのです。
うーん、また行きたい。
発酵と人生
この本では「発酵」と「人間の生き方」を重ねて書かれていました。
なんで発酵が人生やねん、と最初は思いましたが、
「もういいんだよ、どうせ無駄だよ」
と諦めたり不貞腐れたりすることを・・・(おっと、既に「腐」が出ちゃってる)
「腐る」
と言います。また、賄賂が横行するような悪い統治体制のことを
腐敗政治:political corruptionと表現します。英語でも政治は腐るものと表現するんですね!
生き方や政治も腐るものであるならば、発酵するように変えればいいんだ。
日本酒がどうやって作られるのかをサラーッとおさらい。
日本酒造りに必要な微生物とは?麹菌・酵母菌・乳酸菌・硝酸還元菌を徹底解説!
まだまだ知らないことがいっぱいありますね。
麹、酵母、乳酸は聞いたことありましたが、硝酸還元菌は初耳でした。勉強不足。
お酒のでき方
酒造りは「一、麹(こうじ)」「二、酛(もと)」「三、造り」と言われるそうです。
「一、麹(こうじ)」
精米した米を蒸して、高温多湿の麹室に移し、麹菌の胞子を振りかけて混ぜ、米麹を作ります。麹菌が持つアミラーゼが米のデンプンを糖化している工程。つまり糖ができたということ。
ここで使われる麹は黄麹菌が一番多く、他に紅麹菌、黒麹菌がいるらしい。
なんか、戦隊モノみたいですね!
この糖を酵母に与えると、アルコールと炭酸ガスを発生させます。
次は酵母を造る作業。
「二、酛(もと)」
酛は酒母とも呼ばれる。
タンクに水と蒸米と麹を入れて酵母室という専用の部屋で酵母を育てます。
(昔ながらの造り方だと)蔵に棲み着いている微生物が自然に酒母を造って行くのだそうです。
硝酸還元菌がまず増殖し、硝酸塩を還元して亜硝酸を作る。これが乳酸菌が活躍しやすい場となります。
次に乳酸菌が現れて乳酸を作り始めると硝酸還元菌も含めて他の菌が死滅していきます。
その次に酵母が登場し、アルコールを生成し始めるとその乳酸菌も死んでいきます。
硝酸還元菌→乳酸菌→酵母菌 と次々にバトンタッチして行くんですね!
なんと奥深い世界か!
「三、造り」
この工程でできた酒母に先に作った麹と蒸米を混ぜ合わせて酒のもと、もろみができるんですね。
もろみでは
麹が蒸米を分解して糖化
酵母が糖を分解してアルコールを作る
これが同時に行われています。
いや、簡単にさらっと、と言いましたけど複雑!
この一つ一つの工程に、添加物を使ったショートカットが存在します。
例えば、乳酸菌に乳酸を作らせるのに時間がかかるから人工的に作った乳酸を入れちゃう、とか。
待て待て待て待て、急ぐな急ぐな。
もろみに蒸米を一気に入れると乳酸が薄まって雑菌が繁殖してしまいます。
3回に分けて仕込む。これが三段仕込み。ちゃんと意味があるんですね!
発酵は微生物の力を使うから時間がかかるんですね。
うーん。やはり哲学だ。