微生物を制する者は世界を制す

書評, 生きもの

腸を鍛える

農学博士光岡知足

久しぶりに名著に会いました。

何度かご紹介していますが、本当に面白い。
詳しくは是非読んでいただいた方が早いですが。

乳酸菌
自然免疫と獲得免疫
アレルギー
自律神経系
鬱などの精神疾患

腸の中には小宇宙が広がっていて
免疫やアレルギー、自律神経やホルモンまで、
全部の要因がここにあると言っても過言ではない。
何でもかんでも腸内細菌、乳酸菌で解決しちゃいそうな。。。

 

チートかよ。easyかよ。

 

と思われても仕方ない。でも実際そうなのだから仕方ない。

アレルギーとパターン認識

内容を端折ってご紹介すると、

・免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がある
・大事なのはベースになる自然免疫。
・自然免疫は侵入者に対し
「吸収し取り入れるべきもの」と、「排除するべきもの」に分ける
・自然免疫はTLRというセンサーを使い、パターンで敵味方を認識している
・これがうまく働かなくなるのが「アレルギー」

免疫はパターン認識なんですね。

「パターン青、使徒です! 総員、第一種戦闘配置」

イメージはそんな感じです。

相手が生きている乳酸菌か死んでいる乳酸菌かは関係なく、
取り入れる数と量が大切ということになります。

いっぱい食べよう乳酸菌

原始の生き物

脊椎動物で進化がすすんだ生きものは
「脳」が発達して脳の活動を中心にして生きていて、
「腸は第二の脳」と言われています。

ところで原始の生きものはどうだったか

Keisotyo – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=38007176による

細胞一つ。他の生き物を取り込んで、吸収して、カスを出す。

そこから少し進化して、
口と尻があってチューブとかホースのようなシンプルな構造の生き物に。

ミミズとかヒルとかそういう類です。

もうこれって、、、「腸」ですよね。

脳よりも腸の方が先なんです。

高等と言われる生き物も究極、突き詰めたら
消化管の「筒」に色々機能がくっついただけ。
腸ありきで体や脳が出来上がってきたので
そりゃあ腸が体を支配してますっていうのも頷けます。
「第二の脳」とか言われちゃってますが、腸から言わせると、

自分の方が先やし!!

って言いたくなりますね。

先人の知恵

研究が進む以前から、昔の人は発酵に気づき、
微生物を利用することを感覚で理解していたんですね。

健康や長寿で有名な地域を調べると必ず発酵食品に行き着くそうです。

世界中にある発酵食品
味噌、醤油、酒、ワイン、漬物、納豆、チーズ、パン・・・

農業における発酵肥料
たい肥、けいふん、

全て「菌」による「発酵」がポイントですよね。

以前紹介した菌ちゃん先生こと吉田俊道氏
ぬか漬けを肥料にすればいい。と仰ってました。
本当に食べられるぬか漬けを肥料にしたらもったいないから、
生ゴミとか雑草をぬか漬けにして肥料にするのがいいと。

他の野菜を食べて、取り込んで、栄養にして、野菜を作る。動物と一緒だ。
菌が分解してくれることで食べやすくしてくれている。

話は逸れますが、湿度、温度が高い日本の気候は
菌の繁殖にとても向いているようです。
健康食として世界中から注目されつつある和食。
その発酵文化が進んだのも環境・気候が向いていたからとも言われています。
日本が長寿国であるのもそこにあるのだと。

へーそうなんだー
ジメジメ、ムシムシ、カビ、嫌なイメージしかなかったけど。
よく考えればカビも菌の一つですもんね。

菌の割合をコントロールする

最初に紹介した著書にも書かれていますが、
重要なのは
「善玉菌と悪玉菌のバランス」
であって、悪玉菌を排除することではないです。
綱引きのようにしながら、ちょっとだけ善玉菌を多くして勝たせる。

善玉2悪玉1日和見7 の割合。

この割合、有名なパレートの法則と同じなんですよね。
この著書の最終章にも書かれています。

なるほど、と思ったのは
「悪玉菌を善玉菌に変えることはできません」
という一節。

たーしーかーにー!!

バランスを変えればいいのであって、
悪玉菌を善玉菌に変える必要はないのです。
そもそも変えることはできませんから。
全体の2割(善玉菌)がよくなれば全体がうまくいくようにできている。

うわーなるほどーって電車の中で声が出ちゃいました。

腸内に限らず、様々な発酵の場で言えることだと思います。
全体の2割を押さえろ。
このバランスを取れるものが世界を制す。

菌も生き物

ぬか漬けを作るには毎日かき混ぜたりしなければならないらしい。
うわーそれってめんどくさいな!
と思ったのですが、よくよく考えたら生き物って大抵そうですよね。

お世話をしなくていい日ってないわ。

植物は少しの間ならお世話がなくてもいい時期がありますね。
屋外なら雨が降ってくれれば多少水やりがなくても大丈夫。

生き物を育てる第一歩はぬか漬けかもしれません。
いくつか樽で作って、そのうちの一つを肥料用に野菜くずで作ればいいんですよね。

定住したら早速始めたい。

まずはちゃんとした漬物を作れるようになってから。

5月に仕込んだ味噌はそろそろ完成が近い。

カビもヒトに有害な菌が働いただけで発酵と等しい。
今回は退出してもらいますが。

味噌作り、酵母集めパン作りヨーグルト作りチーズ作り・・・
これまでの微生物活動経験が役に立ちますね!

書評, 生きもの

Posted by kyotako

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