腸内細菌を考える 後編
腸内細菌を考える 後編
「第二の脳」どころか「小宇宙」がそこにある
前回記事でヒト腸内細菌の基本を学びました。
ヒトの体細胞は約37兆個に対し、腸内細菌は約100兆個です。
(昔は体細胞60兆個って言われてましたけどね)
腸は第二の脳(一つの臓器)どころか、
東京大学名誉教授上野川博士は「小宇宙だ」とまでおっしゃっています。
キミは小宇宙を感じたことはあるか?
たくさんあることを「星の数ほど」といいますが
現在、宇宙にある星の数は数兆個と言われています。
一つの銀河で2000億くらいだそうです。
#意外と少なめ#よく考えたら宇宙スカスカ#もっと詰められるだろ
上野川博士の著書
からだの中の外界 腸のふしぎ
えぇ。ポチりましたとも。
When thinking about coexistence with living things, the first thing to face is
Isn’t it the intestinal bacteria in your body?
在考虑与生物共存时,首先要面对的是这不是您体内的肠道细菌吗?
생물과의 공존을 생각할 때 가장 먼저 직면해야 할 것은당신 몸의 장내 세균이 아닙니까?
เมื่อคิดถึงการอยู่ร่วมกันกับสิ่งมีชีวิตสิ่งแรกที่ต้องเผชิญคือมันเป็นแบคทีเรียในลำไส้ใช่มั้ย
Ketika berpikir tentang hidup berdampingan dengan makhluk hidup, hal pertama yang harus dihadapi adalah Bukankah itu bakteri usus dalam tubuh Anda?
菌はどこから来るのか
- 母体内の胎児は無菌
- 生まれた時に産道を通り外界に出る時に菌をもらう
- 母乳を介して菌をもらう
- 最初は99%善玉菌
- 生後3、4日で腸内フローラ完成
- 生後3日後から悪玉菌増加
- 加齢により悪玉菌増加
私たちが気づいていない間にいろんなことが起きてるんですね。
単純な善悪論では済まされない
単に善玉菌だけが多くなってもダメという話は聞いたことがあると思います。
善玉菌と悪玉菌、そして優勢な方に味方する日和見菌のバランスが大事。
善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1 がいい。
生き物の体は往々にして、アクセル&ブレーキ両方持ち合わせて、
まるで綱引きのように拮抗をって体の機能を
コントロールすると言う手法がよく使われます。
便宜上、善悪と表記していますが、両方いないと綱引きは成り立たない。
さらに踏み込んだ記事がこちら
面白いですねぇ!
「○○菌」というのは「日本人」とか「アメリカ人」と
言ってるのと似ていて、いい奴もいれば悪い奴もいる、と。
イスラムが悪い!中国が悪い!と、全部一括りにして
善悪に振り分けるのはよくない!その中にはいろんな人(菌)がいるんだ!
生物多様性に繋がる話ですね!
『害虫』『害獣』同様、『悪玉菌』も
ヒトの方から見たらと言うだけで、全体でみたら善悪なく必要なものなんです。
うーむ深い。
腸内フローラを見たい!
最近は腸内フローラという言葉もよく目にするようになりました。
フローラとは「お花畑」のこと。
「腸内を顕微鏡で覗くと菌の様子がまるでお花畑のように見えるから」
とのことですがー
いくら探してもその「お花畑」の画像が見つからない。
イラストばかりで。
ようやくたどり着いたのが、
フランス語の科学記事を取り扱うサイト。

人間の腸内細菌叢が定着したマウスの結腸蛍光顕微鏡写真
この上半分のカラフルな部分が腸内フローラです!
よく見ると棍棒状の桿菌(ラクトバチルス)が多い。
ヤクルト中央研究所の「菌の図鑑」が役に立ちます。
青は腸壁で、緑の炭水化物を含む粘液を出して腸を守りつつ、
腸内フローラに栄養を与えています。
個人的にはビフィドバクテリウム モンゴリエンセが好き。
腸内フローラ測定
腸内フローラ測定はペット保険で有名なanicomなどが出していますね!
イヌ、ネコの腸内細菌研究
イヌネコの腸内細菌についての研究はここ数年のごく最近になってのこと。
しかも日本での研究、論文が一番進んでいます!
ネコの腸内細菌叢について研究&論文を発表したのは
東京大学と日清製粉の研究グループ(2017年)
ネコにおける加齢に伴う腸内細菌叢の変化を確認
・イヌネコの腸内細菌数は(この時点で)計測した報告はない
・消化管内の細菌密度は ネコ>イヌ>ヒト
・数より構成バランスが重要
イヌの腸内細菌叢が加齢とともに変化することを発見 麻布大学など(2019)
まとめ
イヌの腸内細菌叢の主役は乳酸桿菌
ネコの腸内細菌叢の主役は腸球菌
ビフィズス菌(ヒト)
ビフィドバクテリウム ビフィダム (Bifidobacterium bifidum)

ヤクルト菌の図鑑より引用https://institute.yakult.co.jp/bacteria/4230/
テトラポットのような3又が可愛い。
乳酸桿菌(イヌ)
ラクトバチルス アシドフィスル(Lactobacillus acidophilus)

桿菌というくらいなので、棒状なんですね。
腸球菌(ネコ)
エンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)

ヤクルト菌の図鑑より引用https://institute.yakult.co.jp/bacteria/4202/
改めてヤクルトのウェブで調べて見るとエンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)
は菌の図鑑関心度ランキングで第一位となっています!(2020年8月2日現在)
一方で尿路感染や腎盂腎炎の原因にもなるらしく、
ネコにその病気が多いのも納得だなぁと思う次第。
参考サイト
犬と猫の腸内細菌叢の主役はヒトと同じ?(クロス動物医療センター)
涙やけと腸内細菌
腸内細菌を整えれば何でもかんでも健康に良くなる的な情報が多いですが
涙やけに関しては、興味深い記事を見つけました。
ドッグフードを変えたら、便のphが酸性に傾き、涙やけが改善したと。
前回記事に引き続き、うんこのph大事!
さらには
フードBは腸内環境改善を謳ったフードであり、ビートパルプ、オリゴ糖の他にビール酵母や野菜パウダーが添加されていた、しかし、今回の実験ではフードに配合されているどの原材料が涙やけの改善に関与したのかは特定できなかった。
と続きます。
ビートパルプ(砂糖大根の絞りかす)やトウモロコシの芯などが
フードに入っているのを否定的に見る人もいますが、
本当はそのカスが大事なんですね。
自身の栄養にもならないカスが入っているなんて!と思いがち。
それは精製された白米、白砂糖などをヨシ、としているのと同じ。
ただしそれが農薬などに汚染されたりしているものを使っているなら
問題外ですけど。