不妊・去勢について
犬の不妊・去勢の話
オス・メスでも違うから
ずっと昔から、長いこと、不妊・去勢の是非について議論されています。
多くの人が、一緒くたに扱いがちですが、
不妊(♀への手術)と去勢(♂への手術)は目的は同じでも、
手術自体やその後の影響は違うものなので、分けて考えていくべきだと思います。
さらに言えば、犬の場合、猫の場合、でも全く同じにはできないはず。
※猫でも共通するところがあると思いますが、
今回は犬だけに焦点を当てた記事です。
犬の去勢手術(♂)
♂の場合は去勢をしないと
マーキングをしたり、他の未去勢♂と喧嘩になりやすい。
逆に去勢をしたからといって100%それがなくなるわけではありません。
やらないより、やったほうが少なくなるよ、ということ。
去勢しなくても、マーキングを抑えたり、喧嘩をさせないようにもできる!
そういう意見ももちろんありますが、それにはある程度経験と技術が必要です。
やはり♀の方が子宮蓄膿症や卵巣ガンなど命にも関わる疾患が多い一方、
オスはそこまでの病気リスク(メリット)がないのでより判断が迷うかもしれません。
犬の不妊手術(♀)
犬の不妊手術に関しては
この獣医さんのnoteに全てが詰まっていると思います。
有料noteですが、エビデンスとなる論文のリンクなどもちゃんとあって、
非常に有用な情報だと思います。100円以上の価値は余裕であると思います。
ぜひ読んでみてください。
noteで初めて記事を書きまきたよ。記念すべき初回は犬の避妊手術について。
とはいえ未完成なので無料公開します。犬の避妊手術(不妊手術)、する?しない?~犬を迎えたときに迫られる選択~|東京勤務の獣医さん かえる
#note https://t.co/6eRmBRcPEa— 東京勤務の獣医さん かえる (@juisan1013) July 18, 2020
不妊手術の目的は、
生殖器系の病気の予防、
望まない子犬を産ませないようにする、
ヒートの時の飼い主と犬のストレス軽減
が主になると思います。
手術をするのでリスクゼロということはありえませんが、
それによって得られるメリットは大きいと思います。
ヒート中、脱走をしてしまって・・・という事故もあります。
その時は自分の子を残そうと必死ですから、
犬2頭対、それを阻止しようとする人間1人では勝ち目は薄い。
重要なのはタイミング?
早い方がいい説
昔は
早くても遅くても、病気の発症率やリスクには影響しない
と言われていた時期もありました。
これまでは
最初の発情期(性成熟)が来る前にする方がメリットが大きい
というのが主流のようです。早ければ早いほど良いという話も。
個体差ありますが性成熟は
メスで生後4〜6ヶ月、オスで5ヶ月頃と言われています。
先日から勉強しているロイヤルカナンの
ヘルスニュートリションラーニングプログラム
においても、乳腺腫瘍の発症率を例に挙げ、早期不妊を推奨していました。
施術時期が早ければ早いほど乳腺腫瘍のリスクは低下し、2.5歳以降では差がなくなることがわかります。(中略)ただし、避妊・去勢手術を受けるとホルモンバランスが変化して必要なカロリーが少なくなる一方で、食欲は増加します。
ここで注意していただきたいのは、これは乳腺腫瘍についての話です。
他の病気のリスクはもしかしたら上がっているかもしれませんよ?
それも含めて、総合的に判断していかなければなりません。
太りやすいとかカロリーの話に持ってくるのは
さすがロイヤルカナンだなぁと思います。
不妊去勢のデメリットとして肥満が言われますが、
不妊去勢をする、しないに関わらず、
普段から体調・体質・体型を見ながらご飯をコントロールするのは
飼い主として当然の責務かと思います。
若いうちは多少太っていても良いですが、
老犬になってくるとサモエドは少し痩せ気味にした方が
寿命も長くなる傾向があり、力が衰えた時でも
寝たきりになるリスクが少なくなると思いました。
最新の報告
2020年7月カリフォルニア大学デイビス校が出した発表では
不妊・去勢による病気の発症率は犬種によって差があるということでした。
Is there an optimal time to neuter your dog to minimize the risk of certain cancers or disorders? A new, 10-year study by #UCDavis researchers lays out guidelines for 35 dog breeds. https://t.co/Fk0BhxjE0i
— UC Davis Veterinary Medicine (@ucdavisvetmed) July 16, 2020
35犬種の不妊・去勢による関節障害、癌、尿失禁などの発症率の統計データ
とても驚きました。ここでも犬種差が出て来るとは。
ここで大切なのは
「犬種による差があるみたいよ!」
ってことだと思います。
このデータもよく調べたな、すごいな、とは思うけども、
せいぜい1犬種で数百頭、少ないものは数十頭のデータで、
アメリカ在住の犬たち。遺伝的にも近しい子たちである可能性が高い。
その犬種がその病気になりやすいのか、
その一族がその病気になりやすいのか。
遺伝的要素が大きい病気に関しては、このデータからでは
不妊・去勢がどこまで影響したかは正確には見えてきません。
まとめ
犬種、性別、年齢、性格など様々な要素を総合して、
不妊・去勢をするorしない、するタイミングを考えて行きましょう!
全ての犬に対してした方がいい、いつするのがいい、とは言い切れない。
メリット、デメリットをそれぞれ書き出して総合的に判断しましょう!
おまけ
英語で♀の不妊手術は「spaying」♂の去勢手術は「neutering」です。
“Is your dog spayed?"
と受け身で表現するのが正しい。
オス、メス、両方の意味で使われる場合「fixed」
というそうです。
ニュータードケアって言うのにね。
おまけ2
では、オンラインでテキストを勉強してからの試験があって、
一定の成績を収めると「スペシャリステ」に認定されるのです。
ほーほー、こちとら勉強のためにやってるので
無料だし、ためになるし、認定してもらえるなら嬉しいし、と思っていたら、
スペシャリステの認定証と分厚い犬猫の教科書が届きました。
これフルカラーだし、載ってる内容も学校で習う以上のものがあります。
専門書でこのレベルのを買おうとすると数万円くらいするやつです。
ロイヤルカナンさん太っ腹!でもモチベーションが爆上がりしました。
もっと勉強しよう!